| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-110  (Poster presentation)

葉っぱのくせにグルメでツンデレ 〜トウカイコモウセンゴケの反応〜【A】
The Gourmet Leaf with a Tsundere Twist: How the Tokai Sundew Reacts【A】

*石田琥珀, 石田慶(浜松学芸高等学校)
*Kohaku ISHIDA, Kei ISHIDA(Hamamatsu Gakugei High School)

トウカイコモウセンゴケ Drosera tokaiensis は、東海地方を中心とする栄養の乏しい湿地帯にのみ生育する食虫植物である。しかし、近年の開発や人間の生活様式の変化に伴う植生遷移の進行、自生地の破壊や富栄養化などによって生育環境は大きく改変され、本種の生息数は著しく減少している。本校サイエンス部では、本種の基礎的な生態を明らかにすることで、生息地の保全活動や環境教育に役立てることを目的として、継続的に研究を行ってきた。本研究では、日向で育てた粘毛が赤色の株と日陰で育てた粘毛が緑色の株を用いて、化学刺激および物理刺激に対する捕食葉と粘毛の屈曲角度を比較した。化学刺激実験では、水40gに対して砂糖、スキムミルク、重曹、食塩をそれぞれ2g溶解させ、質量パーセント濃度4.8%の寒天を作製した。また、対照として何も溶かしていない寒天を用意した。これら5種類の寒天を0.5cm角に切り、トウカイコモウセンゴケの同一個体の捕食葉上に設置し、90分後に屈曲角度を測定した。その結果、砂糖を用いた場合のみ、日向で育てた株において屈曲角度が50度と大きくなった。一方、他の物質では反応は弱く、特に重曹では捕食葉は全く屈曲しなかった。次に、物理刺激実験では、シャープペンシルの芯(太さ0.5mm)の先端を用いて、粘毛や捕食葉に5通りの方法で刺激を加えた。刺激から60分後に屈曲角度を測定したところ、日向・日陰いずれの株においても、捕食葉に直接刺激を加えた場合に最も大きな屈曲が生じ、その他の刺激ではほとんど屈曲はみられなかった。以上の結果から、トウカイコモウセンゴケの捕食葉の屈曲反応には、化学刺激と物理刺激の双方が関与していることが明らかになった。特に、トウカイコモウセンゴケの生存や繁殖に必要な栄養成分を多く含む大型昆虫が来訪したときのみ捕食葉を屈曲させていると結論できる。


日本生態学会