| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-114  (Poster presentation)

カブトムシ雄成虫の集合フェロモンに対するカブトムシ雌成虫の行動と交尾の関係性【A】
Differential Behavioral Responses of Mated and Unmated Female Rhinoceros Beetles to Male Aggregation Pheromone【A】

*岩本和真(常総学院高等学校), 砂村栄力(森林研究・整備機構), 小島渉(山口大学)
*Kazuma IWAMOTO(Joso Gakuin Senior High School), EIRIKI SUNAMURA(Forest Res. and Mgmt. Org.), WATARU KOJIMA(Yamaguchi University)

2024年6月に発表した学術論文「餌を確保したカブトムシ雄成虫による同種他個体の誘引」では,集まるカブトムシには性比に偏りがある時期とない時期があることが判明した。このことからカブトムシの集合フェロモンには,性フェロモンの役割もあるのではないかと考えた。
本研究では野外トラップ実験,室内昆虫ケージ実験の2つの方法でこの仮定を検証した。
野外トラップ実験では,上部を切り取り、細工をしたペットボトルトラップの中に、カブトムシの雄と昆虫ゼリーを誘引物質として入れ、地面から1.5~2.0mの高さに設置する。カブトムシの雄は交尾を防ぐために、ネットの袋にゼリーと一緒に入れた。
結果は,4回の試行のうち1回のみカブトムシが集まり,その性比は雄4匹に対して雌2匹であった。
室内昆虫ケージ実験では,室内に昆虫ケージを用意し、ケージの四隅にカブトムシの雄と昆虫ゼリーの組み合わせ2セットを対角線なるように設置し、もう一方の対角線には雄のみ2セットをそれぞれ設置する。
カブトムシの雌を、交尾済みの個体と未交尾の個体をそれぞれ用意し、ケージの中央に放ちどのように動くかを調べた。
結果は,交尾済みの雌と未交尾の雌とで集まり方に違いはなかった。
以上の結果から,今回の実験では集合フェロモンが性フェロモンとしての性質を持つか持たないか、交尾済みの雌か未交尾の雌かで集まり方の違いがあるかについて断定することはできなかった。
ただし,野外トラップ実験では,例年実験を続けてきた源流の森公園の風向や気温の変化の気象データを得ることができ,室内昆虫ケージ実験では,夜間のカブトムシ雌成虫の行動を観察することができた。今後はこれらの結果も踏まえ,カブトムシの集合フェロモンが性フェロモンとしての性質を持つのか断定することができるよう手法を工夫し,試行回数を増やしていきたい。


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