| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-115 (Poster presentation)
【研究の背景】ショウリョウバッタの体色変化が環境刺激にどのように反応するかを知るために、21日間の観察を行い、密集状態や背景色によって体色が変化することを確認した。一方で、鏡に映した自己像やバッタの写真を提示する視覚刺激では体色は変化しなかった。これらの結果から、条件を戻せば体色が元に戻るのかという疑問と、背景色の違いによって体色変化に差があるのかという疑問が生じた。
【目的】本研究は、①ショウリョウバッタの体色変化に可逆性があるかを検証すること、②異なる背景色に対して体色がどのように変化するかを明らかにすること、の2点を目的とした。
【方法】ショウリョウバッタを対象に、環境条件を変更して21日間観察した。条件1では混み合い環境で茶色化したバッタを単独環境に戻した。条件2では茶色背景で茶色化したバッタの背景を緑色に変更した。条件3~5では、鏡や写真刺激で体色が変化しなかったバッタを対象に、緑色・茶色・ピンク色の背景にそれぞれ設定し、体色変化の有無を比較した。全てのバッタは室温28℃、湿度78%の同一室内で飼育し、毎日19時に撮影して体色を記録した。
【結果】条件1では、単独環境に戻すことで17日目に白色、18日目に緑色へと変化し、体色変化の可逆性が確認された。一方で、条件2では背景を緑色に変更しても体色は変化しなかった。さらに、背景色の違いを比較した結果、緑色およびピンク色の背景では体色変化はみられず、茶色背景の場合のみ4日目から茶色化が確認された。
【考察】体色変化は生育密度に応じて可逆的に生じることが示された。一方で、体色変化は単純な背景色への同調ではないことが考えられる。室内環境では屋外ほどの紫外線の強度が得られなかったことから、体色変化は背景色そのものではなく、紫外線を含む光の強度に影響される可能性がある。今後は紫外線量や光強度を統制した条件下での検証が必要である。