| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-118  (Poster presentation)

湖をきれいにするのは誰か? ~シジミとオオカナダモによる湖沼浄化機能の季節変化~【A】
Who cleans the lake? Seasonal changes in lake purification functions by corbiculatus and Elodea canadensis【A】

*今原良, 洲崎幸弥, 関本蒼大(浜松学芸高等学校)
*Ryo IMAHARA, Yukiya SUSAKI, Shota SEKIMOTO(Hamamatsu Gakugei High School)

静岡県浜松市に位置する佐鳴湖では富栄養化や底質の還元化が進行し、かつて生息していたヤマトシジミが激減した。水質悪化の主因は、底質環境の悪化と栄養塩溶出と推定される。本研究ではヤマトシジミ、水生植物オオカナダモ、ならびに曝気の効果に着目して、湖水・底質の水質改善機能を評価する3つの実験・調査を行った。曝気実験では、佐鳴湖汚泥を2つの水槽に分け日光が当たらない場所に置き1日に1回pH、リン酸、酸化還元電位ORPの値を計測して、エアレーションによる曝気の有無で各値を比較した。無曝気条件ではリン酸態リンが顕著に上昇したのに対し、曝気ありではほぼ増加しなかった。一方、曝気を行わなかった区では、酸素供給がないため酸化還元電位は低いまま推移し、底質は還元状態であった。また、オオカナダモ区ではリン酸態リンが低下し、シジミとの併用区ではより安定した低値を示した。浄化実験では、佐鳴湖水を採取し、対照区、シジミ区、オオカナダモ区、併用区の4区を設け、リン酸態リンを3日間測定した。併用区においてリン酸態リンが減少し、オオカナダモ区ではリン酸態リンの増加が確認できた。オオカナダモが栄養塩吸収によりリン酸態リンを低下させ、ヤマトシジミが濁度の低下に寄与したことから、両者は異なる浄化機能を有することが明確となった。さらに、併用区で水質がより安定したことは、複合的な生物浄化が高い効果を発揮することを示す。豊川河口と佐鳴湖における底生生物の調査では、各地点において0.5m間隔で水温・pH・塩分・酸化還元電位を測定し、ヤマトシジミが砂礫質だけでなく泥質にも生息できる可能性が示唆された。本研究より、酸化的条件を維持することが、有機物分解の促進と栄養塩溶出の抑制に有効であることが示された。以上より、佐鳴湖における環境改善には、曝気によって底質の酸化状態を回復させる対策と、生物の浄化機能を組み合わせる手法が有効である。


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