| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-120  (Poster presentation)

香東川における外来種と在来種の分布比較【A】
Comparative Distribution of Invasive and Native Species in Koto River, Takamatsu【A】

*森田康介, 田村茉織(大手前高松中学校)
*Kosuke MORITA, Mao TAMURA(Otemae Takamatsu JHS)

本研究は、香東川における外来種と在来種の分布を上流・中流・下流の3区分で比較し、淡水魚類および水中生物の出現比率の違いを明らかにすることを目的とした。近年、日本各地の河川では外来淡水魚類の侵入・定着が進み、在来種の減少や生態系構造の変化が懸念されている。香東川は四国北部を流れる二級河川であり、流域には比較的自然度の高い環境が残存し、希少種を含む多様な生物が生息する可能性が指摘されている。しかし、本河川における外来種と在来種の分布傾向を流域スケールで比較した基礎的資料は十分ではない。そこで本研究では、流下方向に伴う環境条件の変化が外来種の出現に与える影響を検討することを視野に入れ、3地点での採集調査を行った。
調査は2025年12月から2026年2月にかけて、上流・中流・下流の計3地点で実施した。各地点において水深1m以下の浅瀬を対象とし、タモ網を用いて一定時間の定量的採集を行った。採集は各地点で同一の手法・時間で実施し、得られた個体を可能な限り種レベルで同定した後、文献に基づき在来種と外来種に分類し、地点ごとの出現比率を算出した。
その結果、上流域では外来種はほとんど確認されず、在来種が優占する傾向が明瞭であった。一方、中流域では外来種の出現比率が最も高く、流速の緩やかな区間や構造物周辺において外来種の個体数が増加する傾向がみられた。下流域では在来種の割合が比較的高かったが、河口近くの汽水環境の影響により、純淡水性外来種の定着は限定的であった。以上の結果から、流速、塩分濃度、底質、隠れ場所となる構造物の有無といった環境条件の空間的変化が、外来種の侵入・定着および在来種との分布差に大きく関与している可能性が示唆された。本研究は、香東川における基礎的分布資料を提供するとともに、河川管理や在来生物多様性保全に向けた基盤情報となることが期待される。


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