| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-121 (Poster presentation)
マイクロプラスチックはミミズの成長を阻害することが報告されている。このマイクロプラスチックが、ミミズよりも微細な大腸菌に対してどのような影響をもたらすのかを明らかにするとともに、プラスチックの種類による影響違いを調べることを目的として研究を行った。実験1では、大腸菌をLB培地、マイクロプラスチック、攪拌用プラスチック片を投入した試験管内で振とう培養器を用いて37℃、130RPMで培養した。培養4時間後に吸光光度計で透過率を測定し、大腸菌の密度の指標とした。実験2では、培養開始48時間前からマイクロプラスチックを液体LB培地に投入した培地、開始直前にマイクロプラスチックを投入した培地で実験1と同じ条件で大腸菌を培養し、4時間後に透過率を測定した。実験1では、マイクロプラスチックを加えていない培地で透過率が最も低く、最も高い密度まで大腸菌が増殖した。また、加えたマイクロプラスチックの種類によって大腸菌の培養後の密度に差があり、増殖を阻害する程度が異なることが示された。実験2では、発泡スチロールで、実験開始直前に加えた培地よりも実験開始48時間前に投入した培地でより大腸菌の増殖が阻害された。それに対し、ポリウレタンを加えた培地ではこの傾向は小さかった。これらの結果より、マイクロプラスチックは大腸菌の増殖を阻害するが、その働きは種類によって差があると考えられる。要因として、マイクロプラスチックから溶け出す化学物質が大腸菌に作用しているかもしれない。その場合、ポリウレタンと発泡スチロールではプラスチックに含まれている化学物質の量が異なり、阻害の働きに差が生じたのではないかと考えられる。結論として、マイクロプラスチックは大腸菌の増殖を阻害する。また、ポリウレタンと発泡スチロールでは阻害作用の程度が異なることが示された。