| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) Q02-09  (Oral presentation)

亜熱帯二次林における地形と階層構造に対する甲虫群集の反応
Response of beetle assemblages to topographic difference and vertical strcuture in a subtropical secondary forest

*代島泰地(東京農工大学), 吉田智弘(東京農工大学), 鵜川信(鹿児島大学)
*Taichi DAIJIMA(Tokyo Univ. Agri. Tech.), T YOSHIDA(Tokyo Univ. Agri. Tech.), S UGAWA(Kagoshima University)

 異なる空間要素を組み合わせて生物群集の構造の違いをみることは、森林内の生物多様性空間パターンを解明するうえで不可欠である。地面の隆起による地形的異質性は、非生物的要因(湿度や日照時間)の変動を通じて生物群集の組成や生態系機能に違いをもたらす。さらに森林の垂直層構造は、微気候や資源の利用可能性、生物間相互作用に対する垂直的な異質性を有する。しかし、これらの空間要素に対する生物群集の反応に関する知見はまだ限られている。そこで本研究では、地形と森林の垂直層に対する甲虫群集の構造を調査することによって、森林の生物群集の空間的異質性を明らかにすることを目的とした。林業施業のために定期的に伐採されている奄美大島の亜熱帯常緑広葉樹二次林に設置された24地点において、2024年~2025年の5月、7月、8月に各垂直層(林冠[9 m]と下層[1 m])で衝突板トラップを各1週間設置して、甲虫を採集した。調査の結果、地形勾配と森林垂直層は、甲虫群集のβ多様性に対して、それぞれ異なる反応をもたらした。森林垂直層間の群集が入れ子構造であり、下層群集と林冠群集がソース・シンク関係にあったのに対して、地形勾配間の群集は種の入れ替わりによって違いが生じていた。地形勾配は、水分条件などが餌や棲み場所となる材の量や状態が異なることで、甲虫種に対してニッチ分化を生じさせ、甲虫群集の組成の変化をもたらしたものと推察される。一方、垂直層間の甲虫群集の入れ子構造は、下層群集から林冠群集への種の分散制限が生じていることを示唆している。


日本生態学会