| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


シンポジウム S01-7  (Presentation in Symposium)

斜面崩壊に伴う土壌炭素移動量の定量的評価
Soil organic carbon movements due to landslides

*江草智弘(静岡大学)
*Tomohiro EGUSA(Shizuoka Univ.)

斜面崩壊は、急峻な山地斜面で起こる土砂移動現象であり、潜在的に多大な土壌炭素の移動をもたらすことが予想される。本研究では、斜面崩壊に伴う土壌炭素移動量の広域における定量的評価を最終的な目的としている。そのために、既存の斜面崩壊イベントを対象とし、機械学習を用いた斜面崩壊の抽出を行った。雨西日本豪雨は、2018年6~7月にわたり、広範囲で大量の降雨をもたらし、多数の斜面崩壊を引き起こした。その後、航空機LiDARを用いた調査により、詳細な斜面崩壊分布データが存在している。本研究では、西日本豪雨によって生じた斜面崩壊を対象とし、衛星画像からの抽出を試みた。具体的には、Sentinel-2の青・緑・赤・近赤外線域(10mメッシュ)データを使用した。まず、西日本豪雨の前後で、衛星画像から雲の影響があるピクセルを除いて、中央値を求めた。機械学習手法として、ランダムフォレストとU-Netの二つを用いた。前者に対しては、西日本豪雨前後のNDVI, NDWI, BI(Brightness Index)と、その変化量、傾斜をインプットとした。後者に対しては、西日本豪雨前後の衛星画像のバンド値と傾斜をインプットとした。ランダムフォレストを用いた場合、実際の崩壊と推定された崩壊の類似度を示すダイス係数は0.23にとどまり、良好な推定は出来なかった。一方で、U-Netを用いた場合、ダイス係数は0.56まで改善した。ただ、斜面崩壊が多い範囲では良好に崩壊を抽出する一方で、斜面崩壊が少ない範囲の崩壊を過剰に抽出する傾向が見られた。今後は、U-netに斜面崩壊が少ない範囲での崩壊抽出を抑制する機構を組み込むとともに、抽出された崩壊に伴う移動炭素量の推定を行う予定である。


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