| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
シンポジウム S01-8 (Presentation in Symposium)
降雨イベントは乾燥地におけるCO2フラックスを劇的に変化させるトリガーとなる。乾燥地の草原に自生する各植物種は、それぞれ生存戦略が異なるため、降雨に対するCO2フラックの応答パターンが異なるものと考えられる。しかしながら、そのように植物種別の降雨に対するCO2フラックスの応答に焦点を当てた研究は非常に限られている。そこで本研究では、モンゴルの半乾燥草原に自生する3種の草本植物群落に強度の異なる水添加処理を行い、処理後のCO2フラックスの変化を経時的に追跡した。
2024年7月末から8月前半にかけて、一年生草本のChenopodium acuminatumと多年生草本のArtemisia frigidaを実験対象とし、2025年7月末から8月前半にかけては、A. frigidaと多年生草本のCleistogenes squarrosaを実験対象とした。携帯型の自動開閉チャンバーシステムを用いて、水添加前および水添加後7~8日までCO2フラックスの観測を実施した。水添加処理は、無処理区(対照区)、5+5 mm処理区、10+10 mm処理区、20 mm処理区とした。5+5 mm処理区と10+10 mm処理区では、最初の水添加処理から3~4日後に再度同量の水添加を実施した。
水分添加後の総一次総生産(GPP)に注目すると、C. acuminatum群落では、処理区間に有意な差は認められなかった。A. frigida群落では、20 mm処理区で最もGPPが増加し、処理後3日までは対照区との間に有意な差が認められた。しかし、処理後7~8日後には対照区と20 mm処理区との間に有意な差は見られなくなった。C. squarrosa群落では水添加量に応じてGPPが増加し、その効果は最初の処理から7日後まで継続した。以上の結果から、植物種によって降雨イベントに対するCO2フラックスの応答パターンが異なることが示唆された。