| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
シンポジウム S01-9 (Presentation in Symposium)
研究プロジェクト「デジタルバイオスフェア:地球環境を守るための統合生物圏科学」では、北海道大学・苫小牧研究林および岐阜大学・高山試験地において観測キャンペーンを実施し、多様な研究者が参加する中で研究機会を共有し研究分野間の融合を図った。上記の2つの研究サイトにおいてはフラックス観測タワーが設置されているが、著者らはそのごく近傍で土壌断面調査を実施し、土壌特性を把握するとともに、詳細な土壌分類を行った。
苫小牧研究林の土壌は、日本土壌分類体系(2017)により「普通未熟黒ボク土」(Haplic Regosolic Andosol)に、World Reference Base for Soil Resources(2022)により「Oligoeutric Vitric Andosol (Arenic, Acroxic, Humic, Panpaic)」に分類された。いずれも、火山放出物を母材とするが、風化の初期段階にある若い土壌であり、リン酸イオンなどに対する吸着能が比較的弱いことが強調された分類名が付された。
高山試験地の土壌は、これまで褐色森林土であるとする報告と黒ボク土に代表される火山灰由来土壌であるとする報告があり、その実態は明確でなかった。今回、フラックス観測タワーから約100 mほどの尾根筋にある比較的平坦な地点の土壌を調査したところ、日本土壌分類体系(2017)により「ばん土質褐色森林土」(Andic Brown Forest soil)に、World Reference Base for Soil Resources(2022)により「Dystric Cambisol (Loamic, Humic)」に分類された。いずれも、交換性陽イオンが溶脱した酸性が強い褐色森林土であることが強調された分類名が付された。一方で、フラックス観測タワーから3 kmほど離れた平坦地には黒ボクが分布することも確認された。この一帯には、褐色森林土と黒ボク土が地形に応じて分布していると考えられた。