| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
シンポジウム S02-1 (Presentation in Symposium)
「保全生態学入門」の冒頭に記述されているように、保全生態学はしばしば医学に例えられる。人間が病気になった際には、病気の原因を突き止める「診断」と、病気を治癒・軽快させる「治療」が行われる。保全生態学も同様であり、生物多様性及び生態系が劣化した場合には、その原因究明と、自然再生のための対策が行われる。それらを滞りなく進めるには、論文だけでなく教科書やマニュアルが必要不可欠であり、またそれらが社会的に認知される必要がある。しかし、医学には非常に多くの教科書やマニュアルが存在する一方で、自然再生の現場では有効利用できるマニュアルはまだまだ数が少ないのが現状である。また、ニホンジカや侵略的外来種における問題など、低コストかつ抜本的な対策をそもそも取りづらいものも数多く、これらの解決には技術開発自体も求められるだろう。
演者らのグループでは、主に保全生態学における日本語の総説論文をこれまで複数出版してきた。しかし、研究者以外の立場で日ごろから論文を読む層がそもそも少ないことから、社会的にあまり認知されないことが大きな課題となっている。これらの課題を解決するには、より読みやすいマニュアルの公開や、自然再生に対する社会的な気運の醸成が必要不可欠である。本講演では、上記のように保全生態学を一般社会に浸透させるための課題について紹介したい。