| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


シンポジウム S02-3  (Presentation in Symposium)

水田における生物多様性保全のための管理手法と調査・評価マニュアル
Management practices and survey manuals for conserving biodiversity in rice fields

*片山直樹(農研機構)
*Naoki KATAYAMA(NARO)

日本では、多くの自然湿地が人間活動により失われ、水田が湿地性生物の代替的生息地として重要な役割を果たしている。水田における環境保全型農業は、生物多様性や生態系サービス(害虫防除、栄養循環、文化的価値など)の強化に寄与する取り組みとして期待されているが、科学的評価は十分ではなかった。この課題に対応するため、農研機構農業環境研究部門(旧農業環境技術研究所)は、全国の大学や農業試験場と連携し、全国規模の野外調査を実施し、その成果を論文として公表した。さらに、結果を生産者に普及するため、2018年に「鳥類に優しい水田がわかる生物多様性の調査・評価マニュアル」を公開した。
本講演では、このマニュアル作成に至る一連のプロセスを紹介する。具体的には、プロジェクトの立ち上げ、野外調査(対象圃場の選定、生物調査)、農家への聞き取り調査、統計解析による農法の影響評価(慣行栽培、特別栽培、有機栽培)などである。さらに、マニュアルでは、生物に詳しくない人でも評価できるよう、動画付きで調査方法を解説し、簡便な評価のために4段階の生物多様性ランク(S, A, B, C)を設定した。最後に、マニュアルの活用状況や出版を通じて明らかになった課題についても議論する。


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