| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


シンポジウム S04-1  (Presentation in Symposium)

これまでの環境省の保護増殖事業の取組と予算の概要
Overview of the Ministry of the Environment's Protection and Reproduction Programs and their budgets to date

*北橋義明(環境省)
*Yoshiaki KITAHASHI(Ministry of the Environment)

種の保存法は法律施行(1993年)以来現在までに30年が経過し、国内希少野生動植物種指定により捕獲等が禁止されている生物は458種、そのうち保護増殖事業計画が策定されて繁殖の促進や生息地の整備等の積極的な事業が推進されている種は79種(58計画)、さらに希少種保全に関する予算も年間9億円近くまで増加している。
しかし、時系列的にこれらの数字の推移を見てみると、その増加傾向は一様ではない。2010年代前半までは指定種数が100種未満でその半数以上について保護増殖事業の対象となっており、特に初期から取り組みが進められてきた種の中には、トキ、タンチョウ、アホウドリやアマミノクロウサギなど順調な生息数の増加が見られる種がある。一方で、大きく種指定数が伸び始めた2010年代半ば以降を見ると、初期こそ予算の大きな増加があったものの、指定種数の伸びと比較すると、全体としては保護増殖事業の種数や予算額はそれに応じて伸びているとは言い難く(種指定による規制そのものが大きな意味を持つ種も多いが)、体制や予算の限界がある中で保護増殖事業のより効率的・効果的な予算配分・実施の必要性が指摘されているところである。
環境省としては、「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略(2014)」や「希少野生動植物種保存基本方針(2018)」などの他、有識者による科学委員会や施行状況評価検討会などの議論も踏まえながら取組を進めてきたところであるが、さらに2020年には効率的・効果的な保護増殖事業の実施を目指して全国的かつ分野横断的に整理が必要な事項を「保護増殖事業のあり方について」により整理したところである。
国・地方自治体・民間団体の連携・役割分担や、近年注目が集まるOECM(自然共生サイト)による「場」の保全等、保護増殖事業に関連する事項は多岐に渡るが、引き続きより望ましい事業のありかたを検討していきたい


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