| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
シンポジウム S08-3 (Presentation in Symposium)
JBO4中間提言では、国家戦略で設定された状態目標について2020年をベースラインとした短期トレンドの総合評価を行った。従来にない大きな特徴として、可能な限りエビデンスにもとづいた評価とすること、またそれにより評価の再現性を高めることに大きな努力がはらわれた点が挙げられる。すなわち、 公表情報を基本とした様々な情報源から収集した多数の候補指標(約470指標)を、状態目標の要素との適合性、指標の定量性・妥当性、指標が全国を網羅するものか一部地域のみが対象かといった地理的スケール、過去・将来にわたる指標の継続性の観点からランク付けを行い、最終的に選定された322指標にもとづいた評価が行われた。評価にあたっては各指標のランクを踏まえた上で、複数の指標のトレンドの一致性等に基づき評価の信頼性の判断を行うなど、評価に客観性をもたせるための工程の明確化がなされた。指標にもとづく評価の定量化は、2つの点で大きな意義をもつ。一つは、評価基準の透明性と一貫性の担保につながる点である。今後、JBO4以降も国レベルでの生物多様性の総合評価は版を重ねていくこととなる。その際、評価基準が明確であることで、国全体としての生物多様性の状態の向上や取り組みの進捗を、過去の評価と適切に比較することが可能になる。もう一点は、総合評価に際しての課題を具体的に明らかにすることにつながる点である。JBO4中間提言においても、創出緑地など複数の個別生態系で指標が不足していることが示された。また、個体数・分布域などの種レベルの状態にもとづいた全国的な経年トレンドを把握できる指標が不足していることも示された。これらのギャップには、観測の拡充が必要なケースや、観測は十分になされているものの目標と適合性の高い統合的指標の開発が十分でないケースなどが含まれるが、いずれにせよ、次の評価にむけた優先課題が特定された意義は大きい。