| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
シンポジウム S09-2 (Presentation in Symposium)
大阪公立大学附属植物園には、1950-60年代に「日本を代表する11の樹林型」が造成され、同じ環境で多様な樹林型を比較でき、また温暖化の長期影響を評価できる貴重な研究サイトでもある。1978年から毎木調査が5年おきに行われているが、植栽木以外に自然に加入した個体も混交し、その中には毎木調査の対象になっていない個体も存在する。したがって、この貴重な研究資源を活かすためには、植栽木だけでなく、樹林型全域の現状を評価する必要があると考えた。そのため、UAV-LiDAR(ドローンレーザー)および地上型LiDARを活用し、樹林型情報のデジタル化を進めている。UAV-LiDARにより、樹林型全域を対象とした高解像度のオルソ画像やデジタル地形モデル、デジタル樹冠高モデルを整備した。また、深層学習により樹種識別を行い、林冠木の樹種分類図を作成した。さらに、毎月のドローン計測を実施し、森林の時系列変化を評価している。一方で、UAV-LiDARだけでは、下層木や幹の情報を十分に取得できないため、地上型LiDARを用いて、林内の高精度三次元情報を取得し、幹の位置や胸高直径の推定を行い、既存の毎木調査データと照合している。これらの作業により、毎木調査が実施されていない樹木も含めて森林を詳細に評価し、かつ既存の毎木データも生かせるデータベースの構築を目指している。
データベースの活用方法の1つとしては、樹林型ごとの純一次生産量評価である。純一次生産量評価には、毎木調査だけでなく落葉落枝量(リター量)の評価も重要である。そのため、10の樹林型を対象に、各5基、合計50基のリタートラップを設置し、1年間リター量の評価を行った。その結果、樹林型ごとに季節変動パターンは異なり、由来地の気温が植物園の気温に近い樹林型ほど年間総リター量が増加する傾向があった。特に、葉リター量に比べ、繁殖器官リター量の方が気温との正の相関が強く、温度適応の違いが炭素配分戦略に影響している可能性が示唆された。