| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


シンポジウム S16-3  (Presentation in Symposium)

ニホンイノシシの土壌探索行動は暖温帯林の土壌炭素貯留を変化させる
Wild boar rooting alters soil organic carbon accumulation in a warm-temperate forest

*豊田鮎(香川大学), 原口岳(大阪環農水研・多様性), 佐藤重穂(森林総合研究所), 長谷川元洋(同志社大学)
*Ayu TOYOTA(Kagawa Univ.), Takashi F HARAGUCHI(RIEAFO, Biodiv.), Shigeho SATO(FFPRI), Motohiro HASEGAWA(Doshisha Univ.)

 九州、中四国、近畿、東海、中部地方の限られた地域に分布していたニホンイノシシは、西日本の全域に分布を拡大した後、北陸と関東地方における分布範囲が拡大し、さらに2020年以降、東北地方の北部、関東地方の南西部のこれまでほとんど分布していなかった地域において新たな生息と活動が確認されている。ニホンイノシシの探索行動は土壌生態系の植物根および土壌動物を採食する時期および地域において局所的に表土を流亡させ、探索強度と体サイズに依存した痕跡を形成する。世界的にもイノシシによる探索行動の結果、土壌が掘り返された痕跡について、空間分布、面積、深さのデータが蓄積されつつあり、巨大な貯蔵庫として機能する森林土壌の炭素動態にイノシシの行動が影響を及ぼすことが近年、指摘されている。しかしながら、イノシシは表層の炭素貯留量を減少させるという単純なプロセスではなく、探索行動には、いくつかのパターンがあり、探索に伴う痕跡が形成される季節と気候帯によって森林土壌生態系に対する影響が異なると考えられる。
 本講演では観測時間スケールの解像度および土壌生態系の操作実験の課題、林分スケールの野外データから景観レベル、全球レベルの物質動態を予測するために考慮すべき事象について環境省モニタリングサイト1000森林・草原調査の準コア佐田山サイトにおけるニホンイノシシの行動、土壌動物とリター堆積のデータをもとに議論する。


日本生態学会