| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
シンポジウム S19-3 (Presentation in Symposium)
昆虫の細胞内に生息し、母から子へと垂直伝播する細胞内共生微生物は、さまざまな分類群から見つかっている。これらの微生物の中には、独自の分子機構によって宿主の生殖システムを操作し、自らの存続をより確実なものとしているものが少なくない。こうした生殖操作の様式は多岐にわたり、その多様な分子メカニズムの全貌はいまだ十分に解明されていない。さらに、生殖操作の影響は細胞や個体のレベルにとどまらず、集団さらには種レベルでの進化動態にまで波及しうる。我々は、宿主をメスのみにする共生微生物をモデル系として、宿主昆虫に及ぼす分子レベルの影響と集団動態への影響を調査してきた。その結果、共生微生物が集団内で頻度を増加させ、集団性比が極度にメスに偏ると、生殖操作を抑制する宿主側遺伝因子(サプレッサー)が急速に広がりうることが分かってきた。そのサプレッサーの実体は何か。サプレッサーの拡散と固定は、普遍的に起こりうるものなのか。共生微生物と宿主ゲノムの間には進化的軍拡競争が生じているのか。そして、その帰結はどこへ向かうのか。本講演では、これらの問いについて議論したい。