| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


シンポジウム S23-7  (Presentation in Symposium)

放棄竹林の管理から生態系の温暖化緩和策へ寄与を考える
Considering contributions to climate change mitigation through the management of abandoned bamboo forests

*安立美奈子(東邦大), Daniel FORSTER(F-RAY), 飯塚淳(東邦大), 喜屋武誠司(北総クルベジ), 西廣淳(国環研)
*Minaco ADACHI(Toho Univ.), Daniel FORSTER(F-RAY), Jun IIZUKA(Toho Univ.), Seiji KIYATAKE(Hokusou Cool-village), Jun NISHIHIRO(NIES)

近年、放棄竹林の面積が拡大しており、里山の生物多様性に影響を与えたり景観悪化を引き起こしている。一方で、植物の光合成によって固定された炭素を長期的に隔離する有効な手法としてバイオ炭が着目されており、竹林整備からでた枯竹からバイオ炭を作る活動も増えている。本研究の目的は、里山における放棄竹林の管理やバイオ炭生産が、温暖化緩和策にどのくらい寄与できるのかを明らかにすることを目的とした。
 本研究は、千葉県佐倉市小竹の放棄されたモウソウチク林でおこなった。空中写真の判読より少なくとも17年以上は竹林が優占していたと推測された。2023年10月に放棄区、皆伐区および管理区を作成し、その際に生存および枯死した稈の密度およびバイオマス、倒伏稈(木質残渣)の重量などの調査をおこなった。また、開放型の炭化炉を用いて生存稈および枯死稈からのバイオチャー生産率を算出した。
 本調査地における竹林の総稈密度(生存および枯死を含む)は、1ヘクタールあたり13,600本と推定され、先行研究における稈密度よりも高い結果であった。複数の竹林における調査の結果、地上部の枯死量が竹林の地上部バイオマスに大きく影響することが示唆された。また、放棄竹林における稈の分解速度や土壌呼吸量は、伐採や管理した竹林に比べて大きいことが明らかとなった。伐採区では毎年秋に区画内に生えてきたタケを伐採してバイオマス調査をしているが、1年目より2年目のバイオマスの方が大きく、周囲にタケが残っている場合にはタケの駆除は困難であることが示唆された。開放型の炭化炉でバイオ炭を生産した場合、炭化効率はタケの水分含有量や炭化を止めるタイミングなどに左右され、およそ1~2割程度であった。しかし、タケは伐採してもすぐに再生するため、長期的に竹林を管理してバイオ炭による炭素隔離を継続することは、大きな温暖化緩和策となることが示唆された。


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