| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
シンポジウム S24-2 (Presentation in Symposium)
熱帯雨林における人間の狩猟活動は、多くの野生動物種の存続にとって森林破壊などと並ぶ主要な脅威のひとつとして議論されている。とりわけ野生肉(ブッシュミート)の消費を主な目的とした地域住民による狩猟は、いわゆる「野生肉危機」として中部アフリカ地域をはじめ世界各地の熱帯雨林における生物多様性損失の主要因に数えられている。では、野生動物保全のためには、禁猟区を設置し、狩猟行為を違法化したうえで取締りを強化すればよいのだろうか?あるいは住民に代替資源と環境教育機会を与え、狩猟意欲を削げばよいのだろうか?これらの「対策」は熱帯雨林諸国で実際に行われているものだが、それらは往々にして熱帯雨林と人類との狩猟を介したかかわりの歴史を十分に顧みてこなかった。そもそも熱帯雨林の歴史において、人類の狩猟活動はいつ、どこで、どのような変遷を辿り現在に至っているのだろう?本発表ではまず、野生肉狩猟が熱帯雨林の野生動物相に与えてきた影響について概観する。さらに、中部アフリカとアマゾンを主な題材として、狩猟の技術や実践、知識や価値観、そして地域の狩猟者による自主的な狩猟管理の変遷について生態人類学や地域研究の成果を整理することで、野生肉危機に対する保全策を再考するための手がかりを示す。