| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


シンポジウム S27-3  (Presentation in Symposium)

ボレリア感染症:ライム病・新興回帰熱(ボレリア ミヤモトイ病)・回帰熱
Borreliosis: Lyme disease・Borrelia miyamotoi disease(BMD)・Relapsing fever

*佐藤梢(国立感染症研究所)
*Kozue SATO(NIID, Bacteriol. I)

ボレリア感染症は,マダニやシラミなどの節足動物により媒介されるスピロヘータの一種, ボレリア属細菌による感染症である.ボレリア感染症として,「ライム病」,「新興回帰熱(ボレリアミヤモトイ病)」および「古典型回帰熱」が知られている.
「ライム病」は,野山に生息するシュルツェマダニによって伝播されるライム病群ボレリア感染に起因する感染症である.米国や欧州諸国の感染者数と比較して,日本においては希少な感染症ではあるが,マダニや野鼠の病原体保有率から感染の機会が存在することは社会的によく知られている.
「新興回帰熱」は,2011年に初めて報告された感染症である.病原体であるB. miyamotoiは1995年日本で発見・同定されたボレリアで,その媒介マダニ種はシュルツェマダニならびにヤマトマダニと考えられている.発見当時はB. miyamotoiの病原性は不明であったが,2011年ロシアでのヒト感染例を皮切りに,米国や欧州諸国で患者が報告され,日本では遡及調査により2014年に最初の症例が報告され,そのヒト病原性が確定した.その後,新興回帰熱患者は年々増加傾向にある.2020年以降の患者年間報告数は,ライム病患者と同等,もしくはそれ以上となっている.
「古典型回帰熱」は,ヒメダニ媒介性もしくはシラミ媒介性の感染症である.1900年代前半にはシラミ媒介による古典型回帰熱が日本で流行したと言われているが,第2次世界大戦後に施行された結核予防法、ならびに感染症法による国内感染例の届出はされておらず,海外で流行している病気として認識されていた.しかしながら,2010年,2012年に相次いで海外からの古典型回帰熱の輸入例が報告されていることから,新興回帰熱を含む回帰熱が近年,再び注目を浴びるようになった.
本講演では,日本ならびに海外における,これらボレリア感染症の概要について発表する.


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