| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


シンポジウム S28-2  (Presentation in Symposium)

静かなる攻防戦 ― 植物が昆虫の食害を感知し、応答する仕組み
Silent battle: How plants sense and respond to insect herbivory 

*豊田正嗣(埼玉大学)
*Masatsugu TOYOTA(Saitama University)

植物には動物のような感覚器や神経系は存在しないが、昆虫などによる食害を感知し、迅速に防御応答を誘導することができる。例えばシロイヌナズナは、昆虫により細胞や組織が損傷されると、その傷口周辺から放出されるグルタミン酸を、イオンチャネル共役型グルタミン酸受容体を用いて感知し、カルシウムシグナルを発生させる。このカルシウムシグナルが維管束を介して植物体内を伝播すると、遠く離れた器官においても全身性の防御応答が引き起こされる。さらに食害を受けた植物からは緑の香りと呼ばれる揮発性有機化合物が空気中に放出され、これを受容した近傍の植物ではカルシウムシグナルが誘導され、食害に対する抵抗性が上昇する。本シンポジウムでは、植物体内および植物間におけるこれらのシグナル伝達の分子機構に焦点を当て「静かなる攻防戦」を繰り広げる植物の巧妙な食害感知・応答システムの実像について、最新の知見を紹介する。


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