| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W01-1 (Workshop)
遺伝的多様性は、生態系の多様性、種の多様性と並ぶ、生物多様性の3つの構成要素の1つである。遺伝的多様性は、気候変動等の環境変化への適応の基盤であるとともに、近交弱勢等を通じて小集団の存続性可能性に影響するなど、保全において重要な役割を果たす。しかし、遺伝的多様性の指標化は遅れてきた。その理由としては、遺伝解析実験を要するという観測の困難さや、遺伝的多様性という概念のわかりにくさが挙げられる。
生物多様性条約の昆明・モントリオール生物多様性枠組では、全ての在来種の遺伝的多様性を保全するという目標と、その達成状況の評価指標が採択された。これは遺伝的多様性保全に向けた大きな一歩である。しかし、1)採択された指標は集団内の多様性を評価するもののみで、有害遺伝子の蓄積等の遺伝的劣化が考慮されていない、2)多くの締約国が算出できるようにDNAデータに基づかない近似的な手法が多用されている、3)算出の基盤となるデータが体系的に整備されておらず評価の継続性が担保されていないなど、多くの課題がある。
これらの課題解決のためには、遺伝的劣化の評価手法や、低コストでDNAベースの評価を行うための技術開発、経時的な評価の持続性を担保するための枠組みと体制の整備などが必要とされる。本発表では、日本や各国における遺伝的多様性評価指標の算出の現状を紹介するとともに、これらの課題解決に向けた具体的な技術開発内容の提案を行う。