| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


自由集会 W01-2  (Workshop)

種個体群の傾向を表す国レベル指標:その開発・活用の現状と研究課題
National indicators for species population trends: current development, applications, and future research directions

*深谷肇一(国立環境研究所)
*Keiichi FUKAYA(NIES)

種の分布と個体数は個体群の健全性や回復力と密接に関連しており、種レベルの生物多様性の状態を把握する上で中心的な要素である。種の個体数の変化を示す指標として、Living Planet IndexやWild Bird Indexなどが開発されてきた。これらは、経時的な観測データに基づき、特定の地理的・生態的領域における種群の平均的な個体数変動を指数化するものである。こうした指標は、生物多様性損失の「曲線を曲げる」ことに成功しているか否かを評価する上で不可欠である。

本講演では、国・地域レベルでの種個体群トレンド指標に焦点を当て、その開発状況と方法論的課題を整理する。また、環境関連の法制度における活用事例を紹介し、生物多様性目標の設定および達成評価における種個体群トレンド指標の役割を検討する。

昆明・モントリオール生物多様性枠組みでは、ゴールAにおいて種個体群の回復が明記されているが、対応するヘッドライン指標は設定されていない。この点は世界的なモニタリング体系における明確なギャップであり、各国の指標提供能力の向上が急務である。国内でも、第4回生物多様性及び生態系サービスの総合評価(JBO4)に向けた中間提言において、全国的な経年トレンドを把握できる種レベル指標の不足が指摘された。以上を踏まえ、国レベルの種個体群指標の設計上の論点と優先課題を提示する。


日本生態学会