| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


自由集会 W03-2  (Workshop)

咬まれてニオイを覚えさせる!ツチガエルの防衛戦略
Bite and Learn the Smell! The Defensive Strategy of the Japanese Wrinkled Frog.

*吉村友里(九州大学)
*Yuri YOSHIMURA(Kyushu Univ.)

ツチガエル Glandirana rugosa の皮膚分泌物は致死的な毒ではないが、カエルを好んで食べる捕食者のシマヘビ Elaphe quadrivirgata に対し、口腔内に不快感を与え、咬みつき後の飲み込みを阻害する効果をもつ(Yoshimura & Kasuya 2013)。ヘビは、この不快な経験と皮膚分泌物のにおいを関連付けて学習し、次のツチガエルとの遭遇時には、においのみで本種への攻撃を回避する傾向を示す。すなわち本種は、捕食者との接触後に発動する二次防衛としての皮膚分泌物による化学防衛を通じて捕食者の学習を誘発し、その後の遭遇時には一次防衛として機能する警告シグナル(警告臭)を成立させていると考えられる。
 本発表では、ヘビとカエルという捕食・被食関係に着目し、致死性の低い皮膚分泌物と学習の相互作用によって成立する「非致死的だが記憶に残る」二次防衛の意義を議論する。さらに、同所的に生息する有毒種のアカハライモリとのにおい成分の共通性や、捕食者の感覚特性に応じた警告シグナル進化の可能性についても触れ、ツチガエルの防衛戦略の進化を考察する。


日本生態学会