| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


自由集会 W07-3  (Workshop)

農業者のコツメカワウソに対する意識
Farmers' awareness of the small-clawed otter

*柘植隆宏(上智大学), Vonny I. MUTIARA(Andalas Univ.), Rudi FEBRIAMANSYAH(Andalas Univ.)
*Takahiro TSUGE(Sophia Univ.), Vonny I. MUTIARA(Andalas Univ.), Rudi FEBRIAMANSYAH(Andalas Univ.)

2024年5月から8月に、インドネシア西スマトラ州パダン・パリアマン郡のカユ・タナム地区とルブク・アルン地区にて300名の農業者を対象に聞き取り調査を行い、持続可能な農業に取り組む要因を調査した。
調査ではベスト・ワーストスケーリング(BWS)を使用した。BWSは、複数の選択肢の中から最も高く評価するものと最も低く評価するものを選択してもらう質問を繰り返すことで、各選択肢の相対的な重要性を明らかにする方法である。本研究では「集約的な農業慣行と化学物質の使用」、「他の農家との協力」、「バンダ・ケオン(深溝)の利用可能性」、「研修や訪問を行う普及指導員の存在」、「有機農業の環境面でのメリット」、「輪作と作付パターン」、「カワウソの存在」の7つの項目を取り上げ、農業者が持続可能な農業に取り組む要因としての相対的重要性を調べた。
最も重要と思うものに選ばれた回数と最も重要でないと思うものに選ばれた回数に基づいて各項目のスコアを計算する計数分析を行った結果、最も高く評価されたのは 「集約的な農業慣行と化学物質の使用」であり、2位以降は「他の農家との協力」、「バンダ・ケオン(深溝)の利用可能性」、「研修や訪問を行う普及指導員の存在」、「有機農業の環境面でのメリット」、「輪作と作付パターン」、「カワウソの存在」の順に続くことが明らかとなった。一方、計量経済学の手法を用いて分析を行う計量経済分析の結果では、「バンダ・ケオン(深溝)の利用可能性」と「研修や訪問を行う普及指導員の存在」の順位が入れ替わったことを除いて、計数分析と同じ結果が得られた。いずれの分析でも「カワウソの存在」は最下位となったことから、コツメカワウソの存在は農業者が持続可能な農業に取り組む重要な要因ではないことが明らかとなった。


日本生態学会