| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


自由集会 W09-1  (Workshop)

生育と生理特性の連続・遠隔モニタリングで変革する作物フェノタイピング
Innovating crop phenotyping through continuous and remote monitoring of growth and physiological traits

*杉浦大輔(名古屋大学)
*Daisuke SUGIURA(Nagoya Univ.)

気候変動や資源枯渇が進む中で持続可能な作物生産を実現するには、高収量で資源利用効率の高い品種や栽培技術の開発が急務である。そのためには、バイオマス、水分利用効率、生理的形質といった収量関連形質を評価する「フェノタイピング」が不可欠である。しかし、従来の研究では、長期間・高頻度・多地点での連続的なデータ取得は多大な労力と高価な機器に制約され、ハイスループットな評価を妨げる大きな課題であった。
 これらの課題を解決するため、発表者はこれまでに、Arduinoに代表される安価で拡張性の高いマイクロコントローラーをベースとした、低コストかつハイスループットなフェノタイピングシステムの開発を進めてきた。オープンソースのハードウェアとWi-Fi、3Dプリンティング技術を統合することで、研究者自身が目的に応じてカスタマイズした計測機器を、制御環境下および圃場で柔軟に運用することが可能になってきた。
 本発表では、これらのシステムを主要作物に適用した研究例として、ポット重量計測と自動灌水を統合し、植物の水分利用効率やストレス耐性をリアルタイムで評価するシステム(Sugiura et al. 2024)や、Wi-Fi制御の蒸散流センサーを用いた作物の水利用の環境応答、イネのLAI(葉面積指数)動態や、圃場におけるイネの呼吸速度や穂温の動態の評価システム、新規の光合成計測システムなどを紹介する。
 これらのマイクロコントローラーベースのシステムや大規模なデータセット解析技術を共有・発展させることで、分野横断的な植物生理生態学研究を加速させることに貢献していきたい。


日本生態学会