| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W10-3 (Workshop)
地球上ほとんどの生態系で、環境条件が日周期(約24時間)や月周期(約29.5日)に従い変化している。適応進化の結果、多くの生物種がこれらの周期に従う行動リズムを持ち、それらの種が相互作用して、生物群集が形成されている。しかしながら、日周期や月周期が群集に及ぼす影響はほとんど実証されていない。日周期や月周期は、人工光害により急速に地球上から失われつつあるため、これらの周期が群集をどのように規定しているかを解明することは生物保全の側面からも急務となっている。そこで我々は、日周期や月周期が、食物網をどのように規定するのかを調べることを目的とし、サケ科魚類と河川底生無脊椎動物からなる河川食物網を対象に、野外調査を実施した。具体的には、まず、サケ科魚類による摂餌の日周・月周パターンとその季節変化を調べるために、2025年度の春(4月新月・5月満月)、梅雨(6月新月・7月満月)、夏(8月新月・9月満月・9月新月)、秋(10月新月・11月満月)に、木曽川水系上流の小河川において、サケ科魚類の胃内容物を採集し、各時間帯(薄明・昼・薄暮・夜)の純摂餌量を推定した。結果、サケ科魚類のうち体サイズの小さい個体(<130 mm)は平均的に2.4倍ほど多く夜よりも昼に餌を摂餌していた一方で、大きい個体(≧130 mm)は平均的に1.2倍ほど多く昼よりも夜に摂餌していた。しかし、多くの日で、その95%信頼区間はゼロをまたいでおり、これは、集団内に夜行性・昼行性の個体が含まれていることを意味するのかもしれない。春の新月条件ではサケ科魚類は、大小問わず、有意に夜に餌を採餌していた。加えて、胃内容物内の構成する群集組成(科レベル)は季節間および昼夜間で異なっており、夜の時間を見逃せば、食物網の相互作用の強度や分布を見誤る可能性が示唆された。