| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W11-3 (Workshop)
自然環境中の微生物は、単独で生活することは稀であり、むしろ異種生物間の協力や競争といった相互作用を通じて共存している。こうした生物間相互作用は、微生物生態系の構造や機能を規定するだけでなく、適応進化といった進化過程にも大きな影響を及ぼすと考えられている。複数種からなる微生物生態系が外的ストレスにさらされた場合、その進化的な応答は単一種のみの場合とは異なる道筋を辿る可能性が示唆されているが、どのような条件のもとでどのような進化動態が生じるのか、その実態は十分には明らかにされていない。
相互作用の中でも協力的な相互作用は、微生物間の代謝産物の交換を通じて群集形成に中心的な役割を果たしてきた。特に極端な場合には、生物が代謝産物(例えばアミノ酸)を供給するパートナーの存在なしには生存できない絶対相利共生が成立する。このような強い相互依存関係は、薬剤などの環境変化に直面した際の進化的帰結に重要な影響を及ぼす可能性がある。本発表では、アミノ酸を自ら合成できないバクテリアを使用した実験室進化による先行研究を概観しながら、発表者が現在取り組んでいる研究について紹介する。実験室進化ならではの制御アプローチを活用し、絶対相利共生系の脆弱さ/頑健さを示す条件に焦点を当てることで、複数種に特有の進化動態について議論したい。