| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W16-2 (Workshop)
のと海洋ふれあいセンターは、石川県能登町の九十九湾沿岸に立地する自然調査・普及施設である。石川県生活環境部自然環境課が所管し、石川県ふれあい公社が指定管理者として運営する。本施設では、能登半島における沿岸域や河川を対象に、希少生物を含む生態系の調査研究を継続するとともに、その成果を研究報告や普及誌の発行、自然体験活動などを通じて地域へ還元してきた。
令和6年能登半島地震や奥能登豪雨により、能登半島の沿岸や河川を含む自然環境は大きな影響を受け、さらに復旧工事が進む一方で、震災後の環境状況を把握し、将来を見据えた復旧・復興のあり方を検討する必要性が高まった。石川県創造的復興プランでは、能登半島国定公園に象徴される壮大な自然環境や農山漁村の原風景を、未来へ継承すべきかけがえのない財産と位置づけ、里山里海に育まれた多様な生物資源の適切な保全と、地域資源としての利活用を通じた能登の魅力向上が掲げられている。しかし現場では、関係機関との連携を伴う対応が不可欠である一方、人員や時間的制約が大きく、生物多様性の保全を意思決定や社会実装へと結びつけることが難しい状況にある。
そこで本発表では、輪島市を流れる町野川を事例に、震災後の取り組みを紹介する。本河川は、希少種を含む多様な魚類の生息が確認されており、内水面漁協の活動が継続されるなど地域との関わりが深く、これまで小学校の環境教育の活動場所としても利用されてきた。こうした事例を通じて、地域内の自然調査・普及施設として果たしてきた役割を整理し、災害後モニタリングの社会的意義について考察する。