| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W16-3 (Workshop)
石川県の「能登の里山里海」は世界農業遺産の認定を受けるなど、自然共生社会のモデルとして国際的に評価されている。しかし、2024年1月に発生した「令和6年能登半島地震」では多くの住民が被災し、広大な農地を含む里山里海が被害を受けた。半島という地の利の悪さから復興が遅れ、二次避難者の多い当地では、里山里海の担い手となる現役世代や若者世代の流出が多く、農林水産業再興の目処が立っていない。
発表者らは2025年10月よりニッセイ財団の研究助成を受け、「能登の復興に向けた生物文化多様性の参加行動型研究」をスタートした。能登で里山里海を活かした生業を再開しようとする地域住民と協働し、震災による影響の共有と今後のビジョンづくりのための連携プラットフォームを構築する。また、一次産業の復興による生物多様性の復元過程について科学的な裏付けを与えるのみならず、トキの放鳥やOECM認定といった取り組みに繋げていくための支援を行う。
本研究の着想に至るこれまでの経緯として、珠洲市は2006年より金沢大学との域学連携事業を継続し、金沢大学能登学舎(以下、能登学舎)という研究教育拠点を構えている。能登学舎には、金沢大学のみならずNPOの事務局が置かれるなど地域と大学の連携拠点となっている。発表者らは能登学舎を拠点に震災以前から調査を行なっており、これまでの研究を活用することで、里山環境が比較的良好であった2010年前後と、震災後の生態系(生物多様性)との比較が可能となり、データの裏付けを持って地域が求める未来の里山の姿を提言できる点で、固有性の高い研究となっている。
「災害後モニタリングの意義」として、本研究では地元住民による内発的な復興であることが最重要と位置づけ、地域の多様な世代、セクターが連携し研究者とともに能登の里山里海の現状を把握することで、より内発的で創造的な復興に繋いでいくことと考えている。