| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


自由集会 W20-2  (Workshop)

森林の将来予測を管理に活かすには―モデリングの成果と課題―
Applying future projections of forest ecosystems to management: Achievements and challenges of modeling

*堀田亘(国立環境研究所)
*Wataru HOTTA(NIES)

森林は寿命の長い樹木が主要な構成要素であり、その発達や遷移には数百年スケールの時間を要するという特徴がある。そのため、継続的なモニタリングに加えて、シミュレーションによる将来予測を行なうことが重要である。特に近年、気温上昇や降水パターンの変化、台風や豪雨による風倒や斜面崩壊をはじめとした自然撹乱の頻度や規模、強度の増大、シカ密度の増加など、森林生態系は様々な環境変化にさらされている。同時に、人口減少や物価高騰など社会情勢も変化する中で、従来通りの森林管理策を継続することが難しくなる可能性もある。このような状況下では、将来気候や自然撹乱レジーム、森林管理などのシナリオを組み合わせた「シナリオ分析」により「起こり得る将来の森林の姿」を予測することが重要である。将来予測結果を適切に活用することで、変化し続ける環境や社会情勢に遅れを取らない対策が可能になるだろう。発表者はこれまで、森林景観モデルLANDIS-IIを用いて、将来気候下における風倒や斜面崩壊後の森林の地上部バイオマス回復や樹種構成変化、撹乱後の森林管理シナリオに応じた生態系サービスの変化の予測に取り組んできた。しかし、将来予測結果を実際の森林管理計画に落とし込むまでには多くの課題が存在する。例えば、シミュレーション結果の検証や、研究者から実務者、政策決定者への結果の伝え方、不確実性との向き合い方に関する課題があげられる。本発表では、発表者のこれまでの研究事例を紹介しながら、将来予測結果を実践的な管理に活かすために必要な要素について整理し議論する。


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