| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W20-6 (Workshop)
二次的自然環境におけるアンダーユースは、生物多様性損失要因の一つである。アンダーユースに由来する景観のマネジメントにおいては、法規制などトップダウン的な手法のみでは解決できず、上(政府)からの統治と下(市民社会)からの自治を統合し、多様な主体の協働によって問題解決を図るガバナンス的解決が求められる。特に環境保全や資源管理の現場においては、社会的しくみ、制度、価値をその地域ごと、その時代ごとに順応的に変化させながら 試行錯誤していく協働のガバナンス、すなわち順応的ガバナンスの創発をいかに進めていくかが課題である。
地域の生物多様性保全推進においては、生物多様性地域戦略のような地方自治体による行政計画が重要である。しかし、基礎自治体における生物多様性地域戦略の策定率は全体の9%に留まる。このような状況の中、計画の策定を推進することに加え、いかに地域の実情に合わせた具体的な計画を策定するか、また策定した計画をいかに地域の中で実践していくかが課題である。
本研究の対象地である福岡県福津市では、2017年に環境基本計画の改定と併せて生物多様性地域戦略が策定された。計画の中では里山林の保全・再生について位置づけがされているものの、具体的な数値目標や誰がどのようにその保全・再生を担うのかについては議論が不足していた。そこで計画策定を背景に、里山林の保全活動を大学と地域住民の協働によって立ち上げ、アクションリサーチとして実践に関わりながらそのコミュニティ形成・活動展開のプロセスを記録した。
本研究では、実際の里山林保全の現場において、コミュニティの中でどのような価値を創造しながら、里山林との関わりを再生してきたのか、その実践例について報告する。また、現場で活かせるモデリング、プランニングの在り方について議論する。