| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


自由集会 W23-4  (Workshop)

天然記念物鳥取砂丘における海浜草原群落の分布パターン
Distribution patterns of coastal grassland communities in the Tottori Sand Dunes

*永松大, 岩里実季(鳥取大学)
*Dai NAGAMATSU, Miki IWASATO(Tottori Univ.)

鳥取砂丘は1,000 m以上の海浜幅を持ち,起伏豊かな砂丘地形が残る国内では貴重な海岸砂丘である。一方で,観光客の踏みつけや除草などの人為的撹乱が存在し,多様な環境条件が揃っている。しかし,鳥取砂丘の植物群落を多様な環境条件との関係から統合的に解析した研究はないため,本研究では鳥取砂丘内の植物群落と環境要因との関係を把握することを目的に現地調査と解析を行った。
調査は天然記念物指定範囲146 haを対象とした。植物群落の位置と形,面積をGPSレシーバーにて記録し,各群落の植被率,全出現種と各種の被度を記録した。調査結果から,クラスター分析による群落分類を行った。環境要因は,自然要因として汀線からの距離,砂変動量,堆砂深を,人為要因として踏みつけと除草種別を使用し,Jacobsの選好度指数を用いて各群落型と環境要因との関係解析を行った。調査の結果,1,087の植物群落が確認され,海浜型と雑草型に大別される8つの群落型にまとめられた。全体に,成帯構造に相当する汀線からの距離に応じた分布は認識できなかった。機械除草跡地や踏みつけの多い場所に特徴的な群落が認められ,人為的撹乱が影響して群落型の分化が進んでいることが示された。鳥取砂丘に生育する主要7種の分布では,コウボウムギやハマニガナが人為的撹乱の多い場所でも分布できるなど,種ごとに環境要因に対する反応の違いがみられた。汀線からの距離に応じた分布変化もみられたが,全種が砂丘の内陸端まで複雑に分布し,分布要因の解明にはより微細なスケールでの解析が必要と思われた。このように鳥取砂丘では,汀線からの距離,砂丘列の存在や砂移動など自然要因に加えて,踏みつけや除草作業などの人為要因によりモザイク状に植物群落が分布していることが明らかになった。


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