| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W30-3 (Workshop)
気候変動により、樹木は高温、乾燥化、病虫害などの様々なストレスに直面している。従来、高温や乾燥ストレスへの耐性や病虫害への抵抗性の獲得は、独立な現象として研究されてきた。耐性・抵抗性制御機構の中枢を担っている植物ホルモンであるサリチル酸(SA)、アブシジン酸(ABA)は、独立に作用するのではなく、拮抗作用や相乗作用があり、その結果、植物の実際のストレス応答が制御されている可能性が示唆されてきている。また、食害や傷害を受けた葉から揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds: VOCs)が放出され、被害を受けていない健全な他個体がそのVOCsを受容すると、防衛力が高まり、被害率が低くなるという「VOCsを介した植物間コミュニケーション」が近年注目されている。つまりVOCsを介してストレス応答が個体を超えて森林内に拡散していく可能性がある。本集会では、①これまでの森林内操作実験により明らかになってきた「VOCsを介した植物間コミュニケーション」の結果と、②気候変動と病害虫による被害により葉から放出されるVOCsに着目した「VOCs受容による、植物のストレス応答の解明」を主題とした最新の知見を紹介する。乾燥化とVOCs曝露実験により、2つの植物ホルモンと、それらを駆動するスイッチになりうるVOCs組成という、2つのレベルでの樹木の応答を明らかにし、地球温暖化に伴う実際の樹木の応答予測の高精度化に不可欠な知見を提供する。