| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W34-2 (Workshop)
日本に生息する淡水魚約400種のうち、約70種が二次的自然(里地)に生息する希少種である。二次的自然では、生息環境の改変による生息地の減少に加えて、近年は人口減少による管理不足、気候変動による増水の増加などが生息地の減少に拍車をかけている。例えば、アユモドキやゼニタナゴは、河川、湖沼、農業水路、ため池など極めて限られた場所にしか生息地が残っていない。このような状況から、環境省が中心となり2015年に「二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のための提言」が取りまとめられた。この提言に基づき、市民活動による積極的な保全活動が進んでいるものの、課題も多い。例えば、野生復帰を進める場合、遺伝情報に基づく放流が必要であるが、市民活動で遺伝情報を考慮することは難しく、他地域の個体群が放流された事例もある。また、稀少性が高くなることで観賞魚や釣りなどの資源的価値が高くなり、採集圧の増加、生息地外への意図的な放流も近年散見されている。このような課題がある中、自然共生サイトは有効な保全手段となりえるが、モニタリング手法、管理手法、遺伝的な個体群存続可能性など研究が不足している事項も多い。発表では、二次的自然に生息する淡水魚の保全活動の実態と課題について、タナゴ類などの事例をもとに報告する。