| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W34-3 (Workshop)
昆虫類では、危機的な水準にまで減少してしまった絶滅危惧種が非常に多い状況であり、チョウ、トンボ、甲虫類を中心に主として民間が主導して保全の取り組みが進められている。しかしながら、ほとんどの取り組みで現状維持が精一杯であり、将来的に回復の見込みを描けているものは非常に少ない状況である。特に、保全の取り組みでは、行政や企業がかかわっているものもあるものの、危機的なものについては、民間による取り組みが始まり、一定の見込みがつくような段階になってから、行政等の支援が始まることがほとんどである。そして、もっとも重要な危機的な種についての保全の現場では、少人数の方が取り組みをリードしているが、その労力は非常に大きく、非常に多大な負担を負いながら活動を進めているのが現状である。
一方、ネイチャーポジティブや自然共生サイトなどの施策が近年進められているが、これらの取り組みはもっとも重要な絶滅危惧種の生息地とはほとんど重なっていない。行政による生物多様性を守る施策はいくつもあるものの、統合化されておらず、優先順位も明確になっていない。そして、農薬、シカの増加、気候変動の問題など、全体に及ぶ問題も考慮し、優先順位をつけた取り組みを進めることができていない。こうした問題が生じるのは、生物多様性の保全に関するプランニングが不十分であるからであろうと考えられる。
本講演では、昆虫類の保全の取り組み状況を紹介したうえで、生物多様性の保全上、どのような施策を今後進めていく必要があるのか、提案を行いたい。