| | 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W37-1 (Workshop)
群集生態学者は、多種からなる群集のダイナミクスを理解し、多様性パターンを説明することを目指してきた。しかし、生態学的プロセスのみでは観測される現象を説明できないことも多い。その背景の一つに迅速な進化があり、生態と進化の間の相互作用が存在することがあげられる。2011年に「もっとも新しい統合」というタイトルが掲げられた生態-進化相互作用に関する総説が発表されて以来、十数年の間に、理論、実証共にこの研究分野は大きく発展した。生態と進化の双方向的な相互作用が、生物多様性や生態系機能に重要な影響を与えることが広く認識されるようになった。そして2020年代に入り、複雑な野外条件における役割や重要性を解明することの必要性が主張されている。
しかし、野外生態系の形成や構築、変動を説明するには依然として著しい隔たりがある。その大きな理由の一つは、生態-進化相互作用の空間スケールの問題である。精緻な実験による生態-進化相互作用の検証では、効果の検出はできても、開放空間におけるシステムの動態に対する重要性は理解できない。それに対して、1)遺伝子から生態系までという生物階層の横断、2)景観スケールでの空間構造、3)時間変化、この3つを統合するアプローチが必要である。これは非常に困難なことであるが、たとえば、都市化という自然の実験は一つの足がかりを提供する。われわれのこれまでの研究により、都市生態系における進化と空間明示的な景観アプローチの有効性が明らかになってきたが、さらに、種や系統をこえた共通の進化や、生物間相互作用や生物群集の存在様式に対する特徴的な影響が明らかになってきた。これらの研究によって得られた知見について紹介し、「生態-進化相互作用を基盤とした生態系イノベーション」の考え方について議論する。