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一般講演 B1-04

木本ツル植物3種の熱帯林々冠における光合成速度の日変化

*古川昭雄, Aichen Tay, Ahmad Makmom Abdulah, Muhamad Awang

半島マレーシア、パソー保護林内に設置した林間回廊から手が届く場所に生育していた木本ツル植物3種、Uncaria canescens Korth (Polygalaceae)、Enkleia malaccensis Griff. (Thymelaeacerae)、Bauhinia bidentata Jack (Leguminoseae)の光合成速度の日変化を測定した結果、朝方に高く昼に低下するという、いわゆる昼寝現象が見られた。そこで、日中に光合成速度が低下する原因を明らかにすべく、光強度、温度、水蒸気飽差と光合成速度との関係を求めた。しかし、光合成速度は、日中低下を説明できるだけの各種要因との間に明瞭な関係は見られなかった。光合成速度を支配する主要な要因としての気孔コンダクタンスについても上記の各種環境要因との関係を求めたが、やはり日中低下を規定できるような原因は特定できなかった。そこで、気孔コンダクタンスが光飽和する以上の光強度下(200 μmol m-2 s-1)における光合成速度との関係を求めた結果、種によって相関関係は異なっていたが、温度や飽差が変化する条件下においても両者の関係は一定であった。以上の結果から、ツル植物の光合成速度の日中における低下は、もっぱら水蒸気飽差の上昇による気孔開度の低下によって引き起こされるとの結論に至った。

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