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一般講演 P1-029

森林の分断化が野ネズミの分布に与える影響

*渡邊淳之介(北大・環境科学院),館絢花(北大・農),紺野康夫(帯広畜産大・畜産),石橋靖幸(森林総合研究所),斉藤隆(北大・FSC)

森林の分断化が野ネズミの分布に与える影響を調べた。分断化された森林を一つの島と考え、野ネズミの分布がMacArthur-Wilsonの島モデルに適合するのか検証した。帯広市の農耕地域において分断化された30林分に、それぞれ30個の生け捕りトラップを設置し、エゾヤチネズミ、アカネズミ、ヒメネズミ、ミカドネズミの分布を調査した。成熟した雌個体が捕獲された調査地を、「分布が確認された林分」とみなした。説明変数として、1)調査地の面積と、2)(母森林と考える)山と調査地との距離を、目的変数として、種別の分布を設定し、ロジスティック回帰分析を行い、算出されたロジスティック式が有効かどうか検証した。

エゾヤチネズミは、30林分中28林分で分布が確認できなかった。ロジスティック回帰を行うと、p=0.514となり、R2=0.11であった。アカネズミは、20林分で分布が確認され、回帰の結果は、p=0.07となり、R2=0.23であった。ヒメネズミは、17林分で分布が確認された。回帰の結果は、p=0.02となり、R2=0.29であった。ミカドネズミは、5林分で捕獲にしか分布していなかった。回帰を行うと、p=0.162となり、R2=0.19であった。

島モデル以外の説明変数として、3)森林タイプ(分断林、河畔林、防風林)と4)河畔林と調査地との距離の2つを説明変数として加えて、ロジスティック回帰を行い、変数減少法によりモデル選択をした。エゾヤチネズミは、有効なロジスティック式が出来なかった。アカネズミは、面積のみが変数として選択された(R2=0.17)。ヒメネズミは、山と調査地間の距離、森林タイプが選択された(R2=0.76)。ミカドネズミは、面積と森林タイプが選択された(R2=1.00)。

日本生態学会