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一般講演 P1-056

NOAA画像による西シベリア内陸性塩水湖の環境モニタリング

*鹿野秀一(東北大・東北アジア),河野公一(東北大・高等教育),工藤純一(東北大・東北アジア),ユルノフ A(動物生態分類研・ロシア科学アカデミーシベリア支部),菊地永祐(東北大・東北アジア)

ロシア西シベリアのチャニー湖沼群は、南北約82 km、東西約36 kmの内陸性の塩水湖沼群であるが、平均水位が約2.2 mと浅い。流出河川がないために、降水量などの季節的変化は、湖面の広さや沿岸湿原の植生分布の変化として反映される。そこで、シベリア・ノボシビルスク市の東北アジア研究センター・連絡事務所で受信した気象衛星NOAA画像データを用いて、湖水面積や沿岸植生分布を調べる環境モニタリングを行った。1999年から2004年までのNOAAデータから植生指数NDVIを求め、湖水面積を推定した。湖沼からの蒸発量は、過去の気象データからPenmanの簡易式で推定した。

チャニー湖沼群全体では雪解け後の4月下旬に湖水面積が約1,800 km2と最大になり、その後減少し、8月には湖水面積は約1,150 km2で最小になった。秋には湖面積は若干増加した。湖面積の季節変化は年による差は見られなかった。4月から7月の湖沼群からの蒸発量は、約700 mmと推定でき、降水量と流入河川量を考慮しても、夏期には水位は約50cm低下すると考えられる。更に、現地調査から湖面が季節変化する箇所はヨシ原が幅数キロで広がっていて、湖面の減少はヨシが成長することによって、水面が覆われた効果も加わると考えられる。これに対して、ダムでチャニー湖本体から隔離されている地域では、湖水面が夏に干上る年と残る年があり、季節変化は年によって異なった。この地域は天候の影響が現れやすいため、NOAA画像による環境のモニタリングに適していると考えられる。

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