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一般講演 P1-092

ため池に分布する淡水魚モツゴの種内外来状況を探る

*高村健二,高村典子,中川恵(国立環境研),田中哲夫,三橋弘宗(兵庫県立人と自然の博物館),村上俊明(地域生態系保全)

淡水魚モツゴPseudorasbora parva は本来関東地方・新潟県以西の湖沼・細流に分布していたが、他魚種の放流などに付随して全国的に分布を拡大している。その中には、アジア大陸部に由来する系統も含まれており、国内外来種あるいは種内外来種として位置づけられる。私たちは兵庫県加古川水系のため池14面においてモツゴを採集し、ミトコンドリアDNA cytochrome-b部位塩基配列にもとづいて、系統の分布状況を調査した。採集標本をとりあえず各池2個体ずつ配列決定した結果は以下の通りである;(1) 14面の池全てにおいて共通の系統が確認された、(2) この系統はWatanabeら(2000)が報告した琵琶湖・霞ヶ浦などに分布する系統とも区別されるので、この地域に固有であると考えられた、(3) 2面の池においてこれとは別にアジア大陸由来の系統が確認された、(4) この池2面は周辺に居住地が多かったので、外来系統の定着と池周辺の開発との関連があるかどうかを検討する必要が認められた。今後は各池の配列決定個体数を増やすとともに、外来系統定着の要因を調べていく。

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