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一般講演 P1-174

サワギキョウにおける花序内花間性投資パターン:花序サイズによる違い

*板垣智之,酒井聡樹(東北大・院・生命科学)

花序の大きさが、花間の性投資量の違いに与える影響を調べた。花序の大きさは個体の資源量と関係があり、さらに、訪花昆虫の誘引・隣花受粉に影響すると考えられる。そのため、花序の大きさが異なれば、花あたり資源量や送受粉量が異なると予測される。本研究では、サワギキョウを材料に、異なる大きさの花序ごとに、花あたり花粉・胚珠・種子数を花間で比較し、訪花昆虫数・行動を調べた。

その結果、大きな花序ほど、開花の遅い花における花あたり胚珠・種子数が減少していることがわかった。一方で、花あたり花粉数は、花序の大きさによらず花間で有意な差は見られなかった。これらから、雌器官への投資についてのみ、花序の大きさに依存した性投資パターンがあることがわかった。

花序サイズが大きいほど訪花昆虫数が多かった。一方、花序内連続訪花=隣花受粉も多かった。訪花昆虫の誘引に関しては大きな花序が必ずしも有利ではないかもしれない。

花序の大きさに依存した雌器官への投資パターンには、花序内の花間の資源競争が影響していると考えられる。一般的に、花序構造の制約や成熟期間の長さのため、開花の早い花が多くの種子生産をすることが有利である。大きな花序の開花の遅い花では強い資源制約が起きているのではないか。

日本生態学会