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一般講演 P2-030

モンゴル下水流入河川における硝化・脱窒の日変化〜アイソトポマー比による解析〜

*眞壁明子(東工大・総理工),木庭啓介(農工大・共生科学),陀安一郎(京大・生態研),高津文人(JST),伊藤雅之(京大院・農),由水千景(JST),小川奈々子,大河内直彦(海洋開発機構),豊田栄(東工大・総理工),吉田尚弘(東工大・フロンティア),永田俊(京大・生態研)

窒素は生元素であるが、自然河川において生物が利用できる窒素量は少なく、下水や農業廃水などの人為起源物質による窒素負荷が河川生態系に及ぼす影響は大きい。微生物による硝化・脱窒は系から窒素を放出するため自然浄化作用として機能するが、温暖化ガスである一酸化二窒素排出機構にもなり得る。窒素負荷に対する河川生態系の環境応答として河川における硝化・脱窒能を調べることは重要であるが、硝化・脱窒の進行と一酸化二窒素排出量は酸化還元状態と密接に関わっており、生物活性により酸素濃度が日変化を示すことから硝化・脱窒活性も日変化を示すことが予想される。

本研究では、モンゴル下水流入河川において48時間の定点観測を行った。アンモニア、硝酸、亜硝酸濃度だけではなく、大気に脱ガスする一酸化二窒素濃度も数百〜数千%の飽和度で日変化を示していたことから、河川内において硝化・脱窒活性が卓越していることが考えられる。一酸化二窒素のアイソトポマー比は硝化(ヒドロキシルアミン酸化)及び脱窒(硝酸・亜硝酸還元)において固有の値を取ることが知られており、アイソトポマー比の日変化から一酸化二窒素は主に(亜)硝酸還元により生成していることが示唆された。これは、日中溶存酸素濃度が上昇するにもかかわらず、その間も脱窒活性があることを示している。

日本生態学会