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一般講演 P2-034

安定同位体比、放射性同位体比を組み合わせた河川食物網の構造解析〜予測と展望〜

*石川尚人,陀安一郎(京大・生態研)

河川生態系の有機物生産は外部生産由来の炭素と内部生産由来の炭素によって支えられている。前者は河岸の森林から供給されるリターが炭素源で、主に上流部の生産を支えており、後者は岩盤から溶け出すHCO3-や生物呼吸もしくは大気から供給されるCO2が炭素源で、主に下流部の生産を支えていると考えられる。

本研究の目的は河川生態系の食物網構造と炭素循環の関係を解明するために、安定同位体比(δ13C、δ15N)を用いて食物網構造解析をするとともに、新たな試みとして炭素放射性同位体の天然存在比(Δ14C)を測定し、炭素が固定された年代の情報から時間軸を加えた食物網構造解析の検討を行なうことである。

一般に河川の上流部は、下流部に比べて外部生産由来の炭素源(リター)と内部生産由来の炭素源(岩盤からのHCO3-)がΔ14Cを用いて区別しやすいことが予測されるため、本研究ではまず河川の上流部について調査した。調査は2006年11月に、滋賀県を流れる3つの石灰岩基盤河川(芹川、犬上川北谷、犬上川南谷)と日野川の各上流部で行なった。各河川について河川水の化学分析とともに、DIC、FPOM(0.7-150μm)、CPOM(>1000μm)、付着藻類、各種水生昆虫、各種魚類の同位体分析を行なった。

その結果、安定同位体比マップから各河川でFPOMもしくはCPOMを炭素源とする食物網構造をとっていることが分かった。特に摂食機能群のうち付着藻類を摂食するgrazerのヒラタカゲロウ属やタニガワカゲロウ属でさえ、リター起源の食物網の中に入っていた。

本発表ではΔ14Cの測定結果を加え、安定同位体比と放射性同位体比を組み合わせた河川の食物網構造解析について紹介する。

日本生態学会