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一般講演 P2-059

幹材硬度と成長速度を用いた北タイDoi Suthep山地林構成樹種の生育特性の解析

*中島弘起,武田博清(京大・農),スントン・カムヨン(チェンマイ大・農)

森林における多様な樹種の共存メカニズムの解明をねらい、構成種の生育特性における多様性を明らかにすることを本研究の目的とした。

対象とした北タイチェンマイ県DoiSutep国立公園にあるKogMa集水域の森林は、ブナ科の常緑広葉樹を主体とし若干の落葉広葉樹をまじえた約60種の高木から構成されている。南斜面に設けた0.4 haの調査区に出現した、胸高直径が10 cm以上の主要構成種9種の生育特性を調べた。

物理特性として樹木の強度に関わる「幹材硬度」、生理特性として「幹の肥大成長速度」、種が持つ「最大直径」、の計3要素から各種の生育特性を評価した。

林冠を構成(大高木)していた樹種群には、個体数で30%を占める最優占種Castanopsis acuminatissimaを含む、成長が速いシイ・フトモモ型、成長が遅いヒメツバキ型の2タイプが存在した。各タイプともブナ科樹種の硬度の大きさが顕著であった。

小高木を構成していた樹種には、成長が速いタイプ、成長の遅い Vaccinium sprengeliiなどを含む低木・亜高木層に多出するタイプの2つに分けられた。成長が速いタイプのStyrax benzoidesの硬度は比較的大きく、Macarangaのようないわゆるパイオニア種とはいえない。成長の遅いタイプの種間においても幹材硬度に差がみられ、より暗い環境下に出現する種において硬度が大きくなるという傾向があった。

また、優占種のC. acuminatissimaに着目して、光条件、斜面における位置の違いが生育特性に及ぼす影響を種内で比較した。

これら種間・種内差を総合的に考慮して対象林構成種における生育特性の多様性を考察する。

日本生態学会