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一般講演 P2-070

侵入と防衛ーテリトリー境界線を巡る攻防

*上原隆司(九州大・理), 土畑重人(東京大・広域システム), 巌佐庸(九州大・理)

テリトリーを持つ動物においてテリトリー所有者が他個体からの侵入を受けた時に、見知った近くの他のテリトリー所有者に対してよりも見知らぬ非テリトリー所有者に対して攻撃的に振る舞うもの(dear enemy phenomenon)と、その逆に隣のテリトリー所有者に対してこそ攻撃的に振る舞うもの(anti-dear enemy phenomenon)とが知られている。これら所有者の真逆の反応がどのような要因から生じるのかについて、過去には消耗戦ゲームモデルに基づいた考察が行われ、テリトリーへの侵入者がおとなりのテリトリー所有者(neighbor)である場合とそうでない非テリトリー所有者(floater)である場合に、どちらが侵入を受けたテリトリー所有者にとって脅威であるかによって決まると述べられているが、それ以上の数理モデルを用いた解析は行われていない。本研究ではこの問題について、テリトリー所有者と侵入者という立場の異なる二者の間での侵入と防衛のゲームという観点から考える。侵入者はある頻度で所有者のテリトリーへと侵入を繰り返し、その侵入成功率は所有者の警戒レベルに依存する。このようなゲームでESSを求めると、進化的に安定なテリトリー所有者の防衛レベルは、侵入が所有者にとってどれだけ脅威となるかではなく、むしろ侵入者にとってどれだけ利益になるかによって決まっていた。この結果をもとにテリトリー所有者の侵入者への防衛の強さが侵入者(neighbor/floater)にとっての利得の大小によって決定される可能性について考察する。

日本生態学会