| 要旨トップ | ESJ54 一般講演一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


一般講演 P2-134

野辺山高原におけるサクラソウ湿生群落と乾生群落との種組成および構造比較2

*花岡若奈(信州大・院・農),大窪久美子(信州大・農)

目的:信州大学AFC野辺山ステーション内には絶滅危惧II類のサクラソウPrimula sieboldiiが自生する湿生群落や、絶滅危惧IB類のアサマフウロ等が自生する乾生群落がある。本研究では種組成および群落構造、立地環境を調査し、今後群落を保全するための植生管理を検討することを目的とした。

方法:2m方形区の調査プロットをP (36)、A(12)、B(18)、C(16)、D(8)、E(10)で計6サイト、計100プロット設置し、出現植物種、被度、群度、植物高を測定した。また土壌含水率および相対光量子密度を各プロット9点ずつ測定した。毎木調査は樹高130cm以上の個体の樹高と胸高直径を測定した。

結果:積算優占度(SDR2)を算出しTWINSPAN解析を行った結果、調査プロットは湿生群落P1とP2、乾生群落A、B、C、D、Eの計7群落型に分類された。相対光量子密度ではCとDがP1、P2、A、Bより有意に高く、土壌含水率では湿生群落型が乾生群落型より有意に高かった。帰化率ではA、B、C、Dが湿生群落より有意に高く、特にDは他の群落型よりも有意に高かった(Scheffe多重検定;p<0.05)。DCA序列化法の結果、第1軸(固有値0.450)では左から右へ乾生群落、湿生群落の順に配列され、土壌含水率において正の、相対光量子密度、帰化率、種数、植被率において負の相関があった(p<0.05)。各群落型の生活型組成はP1では地中植物の割合が高く、AとBでは木本層の割合が高かった。また1、2年生草本の構成種は湿生群落型と乾生群落型で異なった。各群落型の生育型組成ではA、B、Eにおいてミヤコザサ等の常緑低木の割合が高かった。毎木調査では単位面積あたりの胸高断面積合計およびD2HがAで最も高かった。

日本生態学会