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一般講演 P2-188

同一の捕食者由来の異なる化学物質は被食者2種の類似した対捕食者行動を誘導する

*高原輝彦(京工繊大・院・工芸科学), 神松幸弘(地球研), 山岡亮平(京工繊大・院・工芸科学)

被食者は、捕食者の匂いなどの化学物質にさらされると、行動や形態を変化させ、捕食されにくくなることが知られている。しかし、淡水域においては特に、被食者が捕食者由来のどのような性質をもつ化学物質を受容して、防御反応が誘導されているのかについてはほとんど明らかになっていない。そこで本研究では、ツチガエル(Rana rugosa )とニホンアマガエル(Hyla japonica)の幼生の捕食者回避行動を誘導するギンヤンマ(Anax parthenope julius )のヤゴに由来する化学物質の性質を調べた。その結果、ツチガエルは、低脂肪親和性で難揮発性の化学物質に対して反応を示し、ニホンアマガエルは、脂肪親和性の性質をもたない難揮発性の化学物質に対して反応を示した。以上のことから、捕食者由来の化学物質によって、被食者は類似した捕食者回避行動を示すが、その行動を誘導する化学物質は異なる性質をもつことが明らかになった。微生息場所や生態的な特性が被食者種ごとに異なる場合があることから、それぞれの被食者は、捕食者との遭遇や攻撃を回避するのに、より効果的な情報を伝達する化学物質を受容しているのかもしれない。

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