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一般講演 P2-246

効用関数に基づいた戦略の適応的意義

*中山新一朗(東大・理), 堀部直人(東大・総文)

未来を確実には予想できない状況においてどのような選択をするかは、生物の適応度を決定する大きな要因の一つである。人間の場合その経済活動において、得られる利潤の期待値ではなく、効用と呼ばれる指標に基づいて行動することが知られている。

効用とは、経済学で用いられる用語で、財を消費したときに得られる満足度の指標である。人間の消費活動においては、

i 財の消費量の増加にともなって効用の増分は減少する、すなわち、消費量―効用曲線(効用関数)は上に凸かつ単調増加であることが経験的に知られている。

ii 消費の際には、効用を最大化するように振舞うことが仮定される。

我々は、このような行動様式の適応的な意義に注目し、解析を行った。本研究では、単純なモデルゲームを設定し、複数のプレイヤーがそれぞれの効用関数に従って行動した時にどの程度の得点を得るかをシミュレーションすることにより、

i 経験的に知られている効用関数に基づいた行動に何らかの適応的意義があるか?

ii 未来を予想しやすい状況と予想しにくい状況で、最適な効用関数の形に違いはあるか?

を考察していく。

日本生態学会