| 要旨トップ | ESJ54 一般講演一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


一般講演 P3-093

常緑広葉樹稚樹におけるクロロフィル含量指標(SPAD値)の季節変化

*水崎大二郎(千葉大・園芸),梅木清(千葉大・自然科学),本條毅(千葉大・園芸),林恩美(千葉大・自然科学),内田悟(千葉大・園芸),宮川沙耶(千葉大・園芸),梅澤耕一(千葉大・自然科学),矢澤佳子(北大・環境),井本俊輔(千葉大・自然科学)

常緑樹5種(ヤブニッケイ、タブノキ、シロダモ、スダジイ、ヒサカキ)の葉の生涯の機能変化を理解するため、葉齢・季節によるクロロフィル含量の変化を調べた。また、光飽和総光合成速度とクロロフィル含量・葉齢などとの関係を検討した。クロロフィル含量の指標としてSPADを用いた。

千葉大学園芸学部敷地内に生育する調査対象5種の樹を各種8本〜10本選び、個体の主軸上の葉でSPAD値を測定した。測定は2006年4月〜12月まで行なった。ヒサカキ以外の4種については同時に光合成速度を測定した。それから光強度1000μmol/s・m^2のときの総光合成速度(P)、気孔コンダクタンス、葉齢,SPAD値,葉温との関係を検討した(線形モデル,AICによる変数選択)。

当年葉開葉直後からのSPAD値の上昇速度は樹種ごとに異なっていた。SPAD値が成熟葉の90%の値に達する日数はヒサカキが最も長く、タブノキが最も短かった。

一年生以降の葉のSPAD値は齢ごとに緩やかな違いが見られた。ヤブニッケイでは1〜3年生時にはほとんど変化せず、4年生以降から徐々に減少した。タブノキでは4年生まで徐々に増加した。シロダモ・スダジイでは1〜2年生時はほとんど変化せず、3年生以降に減少した。

上記の齢ごとの違いとは別に、落葉する直前、急激にSPAD値が低下することが観察された。

総光合成速度のモデルの説明変数としてSPAD値が選ばれたのは、タブノキを除く3種であった。ヤブニッケイ・スダジイではSPADの係数は正に、シロダモでは負になった。

日本生態学会